今回レビューするものはギター、ベース用マルチエフェクターとなるLine 6 HX Stompです。
主な仕様として
電源:DC9Vセンターマイナス 3.0A(専用アダプター)
重量:820g
サイズ:W170mm x D122mm x H64mm
デジタルエフェクター
となっています。
公式サイト
使用してみた感想としましては、このサウンドのクオリティでこの値段は安すぎないか?と感じてしまいました。
デジタルだから音が綺麗過ぎるということもなく、多少の煌びやかさはあるものの音に関しては特にこれといった不満もありません。
エフェクトのモデリングは実機と比べると若干の硬さがありましたが、許容範囲でした。
ギターで使用すると良いのは分かっているがベースではどうなのかという声がよく聞こえてきますが、結論としてはベースで使用してもかなり良いです。
パッチを切り替えると音切れしてしまうので、音切れが起きないSnapshot(スナップショット)で使用することを前提とします。
タイミングよく踏めば大丈夫かもしれませんが演奏中に余計なことは気にしたくありませんので…
エフェクト数が6つまで(アンプやキャビネットなど他のものも含めますが)となっていて、これ一台で完結させることができるベースや使用音色の少ないギターに特に適していると思います。
スナップショットモードでは、その6つの選んだエフェクトからオンオフやセッティング(パラメーター)違いを3つのフットスイッチに振り分け、切り替えることができます。
もちろんこのサイズを活かして、HX Stompをメインとして運用するのもいいですが足りないところを補うサブ的な要素として扱いのも良さそうです。
他にもヘッドフォン出力や割りと性能の良いチューナー、MIDIが付いているのもありがたいです。
他のマルチエフェクターだと電源スイッチがなく、アダプターを抜き差しすることで電源のオンオフを管理することが多いですがHX Stompは電源スイッチが付いているので好印象です。
Helix FloorやHelix LTのように大きくなく、専用ギグバッグで運搬する必要がないためギターやベースのギグバッグのケースや手提げ袋などに入れられるのが魅力的です。
そんなサイズ、重量でありながらこれらHelixと同じサウンドが出せます。
機能は制限されているものの、圧倒的なコンパクトさでこの音質なら間違いなく買いではないでしょうか。
基本的にバイパス音は変化します。ローが削れてしまい、高域からハイミッド辺りが強調されてしまいます。
個人的には気になってしまいますが、内部のEQで補正できないレベルではないためそこまで神経質になる必要はないかもしれません。
デジタルエフェクターというかマルチエフェクター全般に言えることですがどうしても歪みのモデリング、エフェクトが実用的なレベルではないことがあります。
しかしながらHX Stompでは、かなり使えるものとなっています。
ペラペラした音と感じることもなく、マルチエフェクターの歪みが使えないという印象はもう古いのかもしれません。
現在ベース用プリアンプのモデリングとしてはTech21 SansAmp Bass Driver DI V1(サンズアンプ)とDARKGLASS B7K ULTRAを基にしたものがあり、これらは実機そのまんまというわけではありませんが特徴を掴んでいて満足いく出来となっています。
いわゆるデジタル臭さを残したものや、やけにクリア過ぎるということもなく自然なトーンとなっています。
デジタルのマルチエフェクターでこの解像度の高さや再現度、クオリティならもはやアナログエフェクターを使用する必要性はあるのかとすら感じてしまいます。
IRを使用すると更にサウンドクオリティが高まるのでおすすめです。
また、ギタリストはベース用モデリングを、ベーシストはギター用モデリングを試してみることによって音作りの幅が広がるのは間違いないでしょう。
操作感はZOOMなどのマルチエフェクターと比べると難しく感じますが、Line 6公式からマニュアルや動画が出ておりそれを見ればすぐに扱えるようになると思います。
エフェクトのパラメーターを変化させるのはやはり直感的なアナログエフェクター、実機に負けるとはいえこのサイズで膨大な量のエフェクトを持ち運べるのは大きいです。
カラーディスプレイとなっており何が表示されているか分からないということもありません。
SEND、RETURN(センドリターン)もついておりHX Stomp内に外部エフェクターを取り込むこともできます。
電源ですが、DC9Vセンターマイナスで3.0Aも必要とすることから並みのパワーサプライでは駆動させることができず専用電源アダプターがほぼ必須と言えます。
ユーザーからStrymon Zuma R300の9V端子を2系統使用し駆動させることができたという報告がありますが、メーカー推奨のやり方ではないため行う場合は自己責任でお願いします。
とはいえ電源が落ちても音をバイパスしてくれるため、演奏が途切れてしまうということもありません。
電源アダプターがまるでノートパソコンのアダプターほど大きいということはありませんが、気になってしまう形状であることは確かです。
(サイズ比較のためにSANSAMPを置いています。)
こうして見てみるとデメリットは価格が高い、ベース用モデリングが少ない、パッチ切り替えだと音切れしてしまう、パワーサプライで駆動させるのは難しいといったところでしょうか。
ベース用モデリングが少ないために手放してしまうベーシストは多いかもしれませんが、ギター用のモデリングでも作り込めるため、あまり大きなデメリットとは言えなさそうです。
価格もエフェクターとしてみれば高いですが、これで補える幅は広く、色々なペダルを買い漁るよりは安くつきます。
音切れもスナップショットでしたら問題ありませんし、電源も付属する専用アダプターを使用すればいいだけの話です。
デメリットをメリットが遥かに上回っているため買って損はありません。
オーディオインターフェースにもなり、その万能さは流石といったところです。
ライブではもちろんのこと、宅録でもその真価を発揮します。
価格は確かに高いですが、それに見合った性能はあると思います。
これを買えば他にエフェクターを買う必要がなくなるという方も少なくないのではないでしょうか。
ギタリストにもベーシストにもおすすめの機材ですが、今のところモデリングはギター用のものが多いので今後のアップデートに期待です。
HX Stompの登場により、重いエフェクターボードを運ぶことなく楽して良い音を目指す時代がやってきたのかもしれません。
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