あさぎベーススタジオ

もはやベース用エフェクターの備忘録

【レビュー】Ibanez PD7 PHAT-HED BASS OVERDRIVE

今回レビューするものはベース用オーバードライブ、ディストーションのIbanez PD7 PHAT-HED BASS OVERDRIVEです。 

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主な仕様として

コントロール:DRIVE・LO・HI・LEVEL・MODE切り替えスイッチ・ATTACK切り替えスイッチ

電源:DC9Vセンターマイナス

消費電流:15mA

重量:420g

サイズ:W75mm x D125mm x H53mm

アナログエフェクター

9V電池内蔵可能

となっています。

 

 

Ibanezのこの7(Tone-Lok)シリーズやBOSSエフェクターの電子スイッチは踏みやすくて、全部のエフェクターがこれになればいいと思ってしまいます。そうなるとトゥルーバイパスが存在しなくなってはしまうのですが…

 

サイズについてですがコンパクトエフェクターの代表格であるBOSSより一回り大きいくらいでしょう。

 

それとノブを押し込むことによって筐体に収納でき、演奏時などに動いてセッティングが変化してしまうことを防いでくれる機構がついていたりと製作者の工夫が感じられる良いペダルです。

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そんな中でも個人的におすすめできるのが9V電池の収納方式です。

 

一般的なエフェクターですと裏蓋を開ける必要があります。これがBOSS製品になりますと裏蓋を開けずに踏むところを留めてあるネジを回すだけで開けるだけで電池を入れ替えることができます。おそらく素手では硬くて開けれませんのでマイナスドライバーや硬貨などで開ける必要があります。

 

そんななか、このPD7は踏むところの横にあるスイッチを押すだけで楽々開けることができます。これこそ便利すぎて全部のエフェクターがこの機構を採用して欲しいです。

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(こんなことを言っていますが基本的にエフェクターは9V電池ではなくパワーサプライで運用していることは秘密です。)

 

 

 

使用してみた感想としましては、かなり歪ませることができ、歪ませても輪郭が目立ちつつも芯が消えきらないのが特徴的でした。低域はある程度そのままで、高域が強調されることにより相対的にミドルが落ち着くといった感じでしょうか。

 

その独特な歪みとATTACK切り替えスイッチによる重々しい低域とまるでギターアンプを接続しているような高域が魅力的です。

 

ブレンドはないものの、ドライ音のブレンド具合がうまく設計されているため使い勝手が良いです。

 

EQからも分かる通り基本的にはいわゆるドンシャリ気味のサウンドです。歪み幅が広く、軽く歪ませるオーバードライブ的な使い方はもちろん、エッジの効いたディストーションやファズらしさを兼ね揃えた歪みまでこなしてしまいます。

 

セッティング次第ではファットなオーバードライブや倍音やフラットノイズを加え、派手さをプラスするという使い方までできます。

 

そんな万能さを感じるPD7ですが、製品名にオーバードライブとついてはいるものの個人的にはPD7の真価はディストーション枠としてのドンシャリ気味の歪みまくった音だと感じます。

 

クリーンは置いておいて、オーバードライブ枠としても歪み方が特徴的なため使えるものですが個人的に好みなのはディストーション枠だと感じます。

 

最初からハイ寄りのディストーションとして使いたいという方や、かなり歪ませることもできつつ軽く歪ませファットなオーバードライブとしても両立して使いたいという方にもちょうどいいでしょう。

 

時が経つにつれ歪みエフェクター、特にベース用と称されるものは完成度が上がっています。そのため一部の名機を除いた古いペダルは淘汰されていってしまいます。

 

そんななか、このペダルは残り続けて欲しいと思えるコンパクトエフェクターの1つです。まさに名機と言われ、愛されているのがわかります。

 

 

各ノブについてですがDRIVEとLEVELは左に回しきった状態が0でそこから時計回りに回していくと歪みやサスティーン/音量を増加させることができます。

 

また、LOとHIは時計回りに回すと低音域/高音域が強調され、反時計回りに回すと低音域/高音域がカットされます。それらの効きも想像できる一般的なものであるのですが、MODE切り替えスイッチとATTACK切り替えスイッチは珍しいものだと思いますので説明します。

 

MODEの方ですがCLEAN/OD/DISTの三段階になっています。

 

CLEANですとDRIVEが無効になり、プリアンプやEQ的に使うことができます。

 

ODですとファットなオーバードライブとして機能します。しかしながらオーバードライブといってもDRIVEを1目盛にしても結構歪みます。太さを残しつつオーバードライブの範疇にとどまっています。

 

DISTですと重々しいディストーションとして機能します。なんというかとにかく歪みます。

 

次にATTACKの方ですがOFF/1/2の三段階となっています。エンハンサー的な役割を果たし、高域の倍音を増やすことによりアタック音が強調されるというものです。

 

OFFでは倍音がミックスされず、1だと少しミックス、2だと多くミックスされるというものです。1でも相当ギャリンギャリンいいますのでそうした特質が好まれているのでしょう。

 

 

おすすめのセッティングですがDRIVE10.5時、LO12時、HI1時、LEVEL2時、MODEがDIST、ATTACKが2がおすすめです。

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このセッティングでは、歪みまくった金属質なハイ寄りのディストーションとしてお使いいただけます。

 

 

デメリットとしては私の環境ではサーッというノイズが出ることです。しかしながらこれはかなり歪ませた場合でして、これだけ歪んでいてそのうえにまた高域が強調されていれば仕方ないというか出るのは当然だと思われます。

 

 

余談とはなりますがこれを購入したきっかけは凛として時雨の345氏が使っていて、似たようなサウンドが出したかったからです。しかしながら、345氏がPD7と入れ替えでIbanezに製作依頼した新ペダルを導入してしまいました…

345 on Instagram: “Ibanezさんに作ってもらったエフェクター、まだ試作段階ですが、かなり良い感じで、北京のライブから使っています。とってもうれしい◎”

コントロールを見る限りは実質PD7に近いものがありますので買い替える必要はないかもしれませんが…上位機種っぽさはあります。

 

 

今までは生産終了品ということもあり、市場にでることも多くはなく、プレミア価格(定価は10000円ほど)となってしまっていますがいい感じのお値段で出ることがありますのでぜひお試しください。

 

 

(もしかしたらシグネイチャーペダルがでるかもという淡い期待を抱いています…)