今回レビューするものはベース用オーバードライブとなるShigemori G.O.T Bass Driveです。
主な仕様として
コントロール:VOLUME・TONE ・GAIN
電源:DC9Vセンターマイナス
消費電流:50mA
重量:305g
サイズ:W60mm x D110mm x H50mm
トゥルーバイパス
アナログエフェクター
となっています。
Shigemori(シゲモリ)の説明としてはその名前から分かる通り、国産エフェクターメーカーです。サウンドにどれほどの効果があるのかはわかりませんが高純度アルミ削り出し筐体が印象的です。
ひとつひとつハンドメイドなため生産台数が多くはなく、それに人気が高いため楽器店や中古流通などでも目にすることは多くはないのでしょうか。
公式サイト↓
使用してみた感想としましては、巷でも言われている通り、まるで真空管アンプのような音質やサチュレーションと反応の良さ、音の密度の濃さと存在感が特徴的でした。
ゲインは低めなのでオーバードライブ枠です。いわゆるTS系に近いものがあるのではないでしょうか。
とは言っても、ローエンドがなくなることはありませんのでご安心ください。みんな大好きハリ、ツヤ、太さ、抜け、倍音の集合体みたいなわけのわからないオーバードライブです。
そしてエフェクターを繋ぐデメリットとして挙げられる音痩せをほとんど感じることはありません。
むしろベースの美味しい帯域を一直線に出してくれるため音が太くなります。まさにShigemoriの特質、狙いが現れたペダルと言えるでしょう。
具体的に表しますとローからローミッド辺り(どちらかというとミドル寄り)の気持ち良い太い音を出してくれるため、非常に音抜けがよくバンドアンサンブルに混ざっても埋もれることがなく、だからといって浮きすぎることもなくスムーズに軽く歪ませることができます。
歪みの傾向としてはハイミッドからハイ寄りに歪むものとなっていますので原音とその歪みのバランスを調整することで好みの音がつくりあげられます。
音楽ジャンルによってはベース音が太すぎても困る場合がありますが、TONEの効きがいいので好みの太さに合わせることができます。
その帯域の操作が顕著に集約されているのがTONEですが、VOLとGAINは想像の範囲内の変化でしたがTONEだけはよくあるハイパスフィルターのような時計回りに回すとHIGHが、反時計回りに回すとLOWがあがっていくだけのものではなく歪みの質感そのものを変えていきます。
12時以前の特に9〜11時辺りではローミッド重視のオーバードライブらしさがあり、12時以降では徐々にローミッドから重心が上がっていきながらファズのような元気の良さを付加していきます(12時以前においてもファズのような特質は感じられるのですが…)。
とはいっても本機はTONE、GAIN、VOL回路が密接に関わっていることやベース本体のTONEやVOLにもシビアに反応するため、セッティング次第で様々なバリエーションが生み出されますのでTONEノブだけがどうこうと言えるものではありません。G.O.Tは様々な可能性を秘めています。常にかけっぱなしでも、ローやローミッドの補完として適宜オンにすることでも理想の音作りがしやすくなることでしょう。
また、指のタッチやピッキングの強弱によってリアルに反応するため、それでもニュアンスはもちろんのこと歪み感まで変わっていきますので機会がありましたらぜひご自分の機材と合わせて試してみてください。エフェクターを変えてどうにかするというよりは自分でどうにかするための手助けをしてくれるような全能さを感じずにはいられません。
値段は比較的高めではありますがまさにハイエンドペダルと呼ぶにふさわしいエフェクターだと思います。最初の一台目には値段が高いので他のエフェクターも試していただきたいのでおすすめできませんが、いろいろ試して回り回って最後に行き着くのがこのペダルだと感じます。
この音が自分の求めるものにドンピシャでしたら幸いです。アルミ削り出しの筐体の見た目からは所有欲も満たされますし、その音質にももちろん満足することでしょう。
ちなみにですが筐体にブラスを使用したモデルも出ています。
おすすめのセッティングですがTONEを11時、GAINを10時にしたものが個人的には凄く好みでした。
このセッティングでは良質なローミッドを得ることができ、自然なコンプ感と太めの歪みを体感できると思います。
実はこのエフェクター、同社のShigemori PRETONEと同時に使用されることが多いです。
その場合は非常に優秀なプリアンプとなります。G.O.Tが主にローからローミッドを担当し、PRETONEが共にミドル寄りのLow rangeとHigh rangeをいじることができ、自分の狙いに帯域のピークを持っていけるためG.O.Tで芯を作ったところにPRETONEで過不足を対応させるような使い方がおすすめです。
また、PRETONEに限らずミドル周辺がいじれるプリアンプやEQなどのエフェクターと合わせるのも効果的だと感じました。
ここまで色々と書いてきましたがもちろんデメリットはあります。アルミ削り出し筐体なので傷をつけてしまうと目立ってしまうことと良くも悪くも古臭いベースの歪みであることです。また、本体の裏蓋が通常開けられず、バッテリースナップがないため直接9V電池が使用できないということです。
BOSSの傷はむしろかっこよく見えるものなのですが…(私だけでしょうか)
傷だらけになるくらい愛用したくなるエフェクターなので気にせず使っていく予定です。
歪みに関しては好みの問題もありますので何とも言えませんがローからローミッドがガッとでてきますので、その感覚が合わない人もいるとは思います。個人的にはこれぞベースという感じの歪みで好きですがモダンさはありませんので自分に合った歪みをお探しください。
9v電池が使えないとは書きましたが、外付けバッテリーホルダーとケーブルが付属しますのでそちらを使用することによって電池駆動が可能になります。
個人的には電池ケーブルはセレクテッドワイヤーのおかげなのか信頼度が高いのですが、外付けバッテリーホルダーの方はかさばってしまうのとホルダーについた両面テープで本体に装着するタイプのもので見た目が損なわれてしまうため乗り気はしません…ともあれこういった気遣いは嬉しいものがあります。
余談とはなりますがShigemoriに限った話ではなくエフェクター全般に言えることですがShigemoriは特に電源周りに影響を受けますので高品質なパワーサプライ、もしくは電池での使用を推奨します。
Shigemoriのデフォルト電源はデュラセル社プロセルの電池駆動ですので当電池もしくは同じ初期電圧9.8Vがでるように設計されたEx-pro PS-1、もしくはEx-pro PS-2のどちらかのパワーサプライが設計者の理想に近い環境なのではないでしょうか。
9V電池は消耗品ですので9.8V以下になってしまいShigemoriの性能を100%引き出せない可能性を考えるとパワーサプライの方がいいのではないかと考えます。
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