今回レビューするものはプリアンプEQ、ブースター、バッファー、オーバードライブとなるJACKSON AUDIO PRISMです。
主な仕様として
コントロール:TONE・BODY・BOOST・PRE-GAIN SWITCH(HIGH・MED・LOW)・CIRCUIT SELECT SWITCH(COLOR・AMP・TRANS)
電源:DC9Vセンターマイナス 100mA
重量:535g
サイズ:W63mm x D130mm x H60mm
トゥルーバイパス
となっています。
公式サイト
Jackson Audio - Premium Guitar Effects. For The Players
使用してみた感想としましては、PRISMという名の通り、素のベースサウンドを様々な機能により新しいものへと変化させる優れものといった印象を受けました。
歪みエフェクターとしての面が強く、ブースターよりは歪んでしまい本当のクリーンというわけではありませんが、軽く艶感が付与されることにより作り込んだ綺麗なクリーンを表現することができます。
音圧の調整をしたり僅かに歪ませる、抜けてくるサウンドが欲しいなど様々な用途に合わせることができます。
クリーンサウンドの作り込みを求めるのであれば、PRISMで対応できないものは無いのではないかと感じるほどです。
ギター用と謳われていてもTONEやBODYの周波数から見てもベース向きと噂されるのが伝わります。ピッキングへの追従性も良く、歪み感の調整も可能となっています。
TONEは高域のアクティブEQとなっています。
これは±15dBのブースト/カットを行うことができます。耳が痛くなる高域寄りはやや低く、ニュアンスを加えるのにちょうどいいものとなっています。
BODYは低域のアクティブEQとなっています。
これも±15dBのブースト/カットを行うことができます。このコントロールがベースで気持ちいいところを突いてきていますのでうまくベースサウンドをまとめることができます。
比較的腰高な低域ではなく、音圧を感じられ、ギター用とは思えないほど低めではないでしょうか。
これらはどの位置でも破綻することがなく、いい塩梅となっています。
TONEとBODYはお互いに影響を与えることなく、トーンを変化させることができます。これにより、PRISMを前段に置いた時はマスターEQとして使うことができます。
使うベースを選ぶことなく使うことができる優れものではないでしょうか。
BOOSTはブースト量を調整することができます。PRE-GAIN SWITCHと連動しゲインとブーストレベルを調整するマスターボリュームとなっています。ここを回すとその位置によってINDICATOR LIGHT(LED)の色が変わります。音質には関係のない無駄な機能のようにも思えますがテンションが上がります。
BOOSTの左側にあるスイッチはプリゲインの切り替えスイッチとなっています。
このスイッチ(PRE-GAIN SWITCH)はHIGH、MED、LOWから歪み量を選択できます。HIGHではリードトーンが得られ、MEDではリズムトーンを、LOWでは最大限にクリーンなヘッドルームを得ることができます。
BOOSTの右側にあるスイッチはモード切り替えスイッチとなっています。このスイッチ(CIRCUIT SELECT SWITCH)に関してはディスクリートのBOOST MODEを選択できます。
COLORはヴィンテージシリコントランジスタを使用したモードとなっています。高域と中域がブーストされ、ベースで使用する場合はローがスカスカになってしまうためベースにはあまりおすすめはできません。
AMPはMOSFET(MOSトランジスタ)を使用したモードとなっています。チューブアンプらしさを再現しており特性や反応性が付与されます。弾いていて自分自身が気持ち良く感じるのはこのモードではないでしょうか。バンドアンサンブルにも良く馴染みそうです。ちなみにですが歪みの質感はアンプライクなものとは感じませんでした。
TRANSはJFETによる18V駆動のモードとなっています。フラットに近い音質で、音量が上がります。メリハリのついたトランスペアレント系の特質を感じられます。個人的にはこのモードで、MEDゲインが好みでした。
今回はベースで使用することもあり、ローについて見てみるとTRANSが一番残り、AMPでそこそこ、COLORではあまり残らないといった感じです。BODYで低域の補正はできるとはいえ、ベースで使うにはTRANSかAMPが向いているのではないかと思われます。
歪みはTRANSではあまり歪まず、AMPやCOLORではやや歪み出します。
いわゆる音質加工系に分類され似たようなエフェクター、対抗馬としてはMagicalForceが挙げられるのではないでしょうか。
MagicalForceがナチュラルとすればPRISMは加工感のあるものと言えるのではないでしょうか。また、他エフェクターと合わせたときの使用感は何でも合わせられるMagicalForceに軍配が上がりますが、PRISMは単体でもいけるという特徴を持っています。PRISMは歪みなどの性質により他エフェクターとの相性が合わない可能性もありますのでご注意ください。
とはいってもこのペダルのサウンドが気に入らないベーシストはいないのではないかと感じるほどベース向きです。
他エフェクターとの相性が合わない可能性があると書きましたが、PRISMはプリアンプの前段に置いて使用するように作られていますのでその辺でも相性は変わって来る気がします。
接続位置もどちらを選ぶかの基準になるのではないでしょうか。
MagicalForceは一番アンプ側がおすすめですが、PRISMは一番ベース側がおすすめです。PRISMはアクティブEQなので最大限活用するためには先頭に置く必要があります。また、COLORを使うときもベースから一番近い方が効果的です。
また、フットスイッチ(BYPASS SWITCH)にもこだわっていてJACKSON AUDIO独自の回路を搭載したリレー式バイパススイッチとなっています。踏み心地がソフトになりつつも耐久性も向上しているもののようです。
PRISMはバッファーとして機能すると最初に書いた通り、信号の強化とトーンの維持を目的とした優秀なバッファーも入っています。
PRISMにはプログラマブルモードというものがあり、BYPASS SWITCHを5秒間押し続けるとプログラマブルモードになります。
プログラマブルモードにいる間はBOOSTを時計回りに回していくごとにINDICATOR LIGHT(LED)の光度が高くなっていき、通常のモードでこちらで設定した光度が反映されます。
また、こちらもプログラマブルモードにいる間ですがBYPASS SWITCHを三回押すとINDICATOR LIGHT(LED)が緑色か黄色に切り替わります。緑色のときは起動時にON、黄色のときは起動時にOFFになります。
最後にBYPASS SWITCHを5秒間押し続けると、先ほど選んだこれらのセッティングを保存することができます。
こういった操作を可能にしたせいかフットスイッチがB7K USA期のような丸型のタイプとなっており、こちらの場合はオンオフ時に音切れがあるように感じられました。また、左右の切り替えスイッチも切り替えた時に音切れがあります。また、電源を入れてから音が出るようになるまでの完全起動に数秒かかるのもご注意ください
外見だけではなく音質も高級感があり、おすすめできるペダルです。今回取り上げたシルバー、銀色に関しては筐体がステンレス鋼で出来ています。そのため耐久性がありますが、なかなか重くなっています。
また、筐体カラーですが銀色の他にも黒色や青色、赤色や金色などたくさんのラインナップがあります。銀色以外の筐体カラーですと重量が銀色筐体よりも軽いとされており(青、赤は確認済み)おそらく筐体の素材が違うと思われますのでご注意ください。筐体が音に与える影響も無視はできませんので弾き比べてみてください。
JACKSON AUDIO PRISM(ジャクソンオーディオ プリズム)、もっと流行ってもいい名機だと思います。
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