今回レビューするものはベース用プリアンプ、オーバードライブとなるVEMURAM DJ1 KarDiaN MODです。
主な仕様として
コントロール:LEVEL・CLEAN・DRIVE・BOOST・BASS・MIX・TREBLE・SAT・MID
電源:DC9Vセンターマイナス
消費電流:6mA
重量:680g
サイズ:W142mm x D95mm x H50mm
アナログエフェクター
9V電池内蔵可能
となっています。
公式サイト
Vemuram Custom Pedals - Top Page
使用してみた感想としましては、トランスペアレント系最高峰ペダルとも言われているVEMURAM Jan Rayをもとにベース用エフェクターとして製作されたというだけあって、そのサウンドは折り紙つきです。
トランスペアレント系のエフェクターを使うと物によっては歪みが合わなかったり低域がなくなったりしてしまいベースだと厳しいところがあったのですがDJ1はその問題を解決しています。
ローやローミッドがしっかり出てくれるため土台ががっちりとした太いサウンドが出力されます。
いわゆる原音加工系のプリアンプとは違い、原音重視系のプリアンプに含まれるペダルですがこれをオンにしておかないと不安になるくらい頼もしい補正力があります。
EQも嫌味がなく扱いやすく、その音作りの幅や機能の多さから様々な音楽ジャンルに幅広く対応することができます。
やたら帯域が強調されたり、カットされるということが無いためあくまで自然なまま音作りに臨めます。
プリアンプとしてはもちろんオーバードライブやディストーション、ブースターとしても使えます。
歪みはアンプライクであたたかく、艶や輪郭がありつつも太く埋もれないものになっています。
これといったクセがなく、柔らかさというか丸みも感じられます。
歪みは強くかかり僅かに篭ったクランチから鋭さ、ギラつきを持ったディストーションまで表現でき、それらが全部使える音となっています。
歪みすぎず比較的ローゲインとなっています。
クランチのようなローゲインで使用してもディストーションのようなハイゲインで使用してもそのバランスが崩れはせず完成度の高さを感じずにはいられません。
近年流行しているプリアンプのサウンドとは違い、基本的にはモダンさは無く、いわゆる王道のロックなサウンドが出ます。
何というか、かけっぱなしで使いたくなるペダルです。
ミドル、ローともに自然なもので太さやどっしり感があります。
ピッキングニュアンスを消すことのないヘッドルームの広さがあり、そのCLEANで押し出した原音をMIXで歪みと合わせることでローを残したまま芯のある歪みサウンドを手に入れることができます。
今回取り上げているものはKarDiaNのモディファイ品ですがこれらの効果はモディファイ前のものでも健在です。
完全ハンドメイドであることやフルブラスボディ、NOSパーツを使用しているなどそれらの拘りからもサウンドの良さが垣間見えます。
ペダルは筐体で音が変わる傾向がありますが、ブラスを使用していることでバイパス音でさえ響きというか補正がかかったかのような気がします。
見た目も高級感があり、非常に魅力的です。この理由だけでもブラスにする意味はあるのではないでしょうか。(この筐体じゃなければこの音は出ないという声も聞こえてきますが。)
フットスイッチ左側がON/OFFスイッチ、右側がBOOSTスイッチになっています。
BOOSTは比較的クリーンなブースターになっていて、全体を上手く押し出してくれます。飽和感をプラスさせることもできるため、ソロの時のような目立たせたい時だけに使うものではなく歪ませたように感じさせることも可能です。
公式サイトによると、同社の製品はファズペダル以外は18V駆動ができるそうなので試してみるのもいいかもしれません。
注意点として公式は18V駆動を推奨していません。保証外になってしまう可能性があるためご使用の際は自己責任でお願い致します。
表面に出ているコントロール以外にも、トリマーなどが付いています。
筐体側面にはSATとMIDがあります。
SATはドライブ側のサチュレーションを調整することができます。
MIDはクリーン側のミドルを調整することができます。
他には内部スイッチとしてMID SHIFTとGND LIFTがあります。
MID SHIFTはMIDトリマーで調節する帯域を1Khzか600hzに切り替えることができます。
GND LIFTはOUT2( DIアウト)のスリーブ端子をグランドに落とすか否か選択することができます。
内部スライドスイッチでOUT(パラレルアウト)からの出力をインプットからスルー、もしくはバッファードにするかを切り替えることができます。
また、内部トリマーでOUT2(DIアウト)の出力レベルを-12dB〜-33dBで調整できます。
通常の使い方ですと、MID SHIFTくらいしか切り替えないと思いますのでそこまで頻繁にネジを外して筐体の中にアクセスすることが無くて済むこの配置はありがたいです。
モディファイ内容として、パーツの交換やトグルスイッチが2つ付きました。
SmoothスイッチはDRIVEの太さをハイミッドに寄せ、よりファットで滑らかに歪ませることができます。
FatスイッチはBASSの帯域を下に下げることができます。
これら2つはモディファイ前の現行帯域、歪みに切り替えることができます。
また、CLEANのハイカットフィルターの位置を上にあげたことで原音のエアー感が更に生き返りました。
このモディファイにより、Jan Rayをもとに作られたということもあり歪みがほんの僅かに棘があるシャリシャリとしていたものが改善されて太くなりました。
腰高という訳ではないのですが、すっきりしているため、少し低域を下げることによりますますベース向きになりました。
モディファイ価格も手頃でしたので気になっている方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。
もちろんモディファイ前の現行も素晴らしいものとなっています。
現行はエフェクターという枠では価格が高めですが万能なベース用ペダル、特にベース用のローゲインオーバードライブを探している方にはおすすめできます。